rememberのゆめにっき

現実のことも書くが

「死」という文字を「死」という文字で

【七月十一日】

 タンドリーチキンをオーブンで焼く。電子レンジをオーブンとして使ったのは初めてである。これからも活用して料理の幅を広げていこう。

 十人の殺人者へのインタビューの本、読了する。一人目は面白かったが、その最初の一人で本の全体像・パターンがなんとなくわかってしまい、後の九人はあまり頭に入ってこなかった。モノローグという手法を知識として知る。

 ネットで注文した童話作家の本が届く。

 

〈プロフィール①〉

 僕は大学は出てないんですけど、人並み以上に頭はいいんじゃないかって思ってはいるんですね。それは小学校の時、ほぼ何も勉強してなくてもテストはいい点を取れてたからです。大体九〇点以上、百点の時も結構あったんじゃないかって記憶してます。特に得意な教科とかはありませんでしたね。いわゆる地頭がいいっていうのか、特に何も努力しなくても俺はできるんだ、っていう自意識が今もあってですね、それはこの時の体験に起因してるんじゃないかって思ってます。本当に楽々に点は取れてました。

 このころは毎日が楽しかった記憶しかない。友達もいたし、毎日遊んでました。大体友達の家に集まってテレビゲームをしていました。ゲームは最高に楽しかった。ただ室内だけじゃなくて外でも遊んでいましたよ。外では缶蹴りとかやってたっけかな。

 嫌な思い出…。何かあったかな。そういえば入学して最初の授業の日、皆と顔合わせして自己紹介するじゃないですか。それでみんなの前で自分の名前を言ったんですけど、笑われたんですよ。何でかわからないけど。多分、僕の名前のせいじゃないのかな。僕名前に「太郎」ってつくんですよ。「太郎」ってすごい古典的なネームでしょ。それでなんか笑われたんじゃないのかな、って思ってるんですけど。でもまあ僕の言い方が何かおかしかっただけなのかもしれないし。ただこういうことがあったせいなのか自己紹介が未だに苦手で、というか自分の名前を言うこと自体に抵抗があるんですよ。苗字もすごいありふれたものでしょ。それがすごい嫌だった…今もまあそうだけど、昔ほどではないかな。

 他の思い出としては…これはテレビゲームにまつわる話なんですが、六年生くらいの時かな、あるロールプレイングゲームをやっていたんです。それで主人公たちが船に乗り込むんですね。で、その船が実は幽霊船で、部屋の中に航海日誌が置いてある。それを開くと、

「死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死」

って書いてあって、それらの文字がウィンドウに表示された後、「キャーー!」という悲鳴が流れる、というシーンがあるんです。

 それで…ある日学校で何かのテストがあったんですけど、僕はその答案用紙の裏、藁半紙でしたっけ、あのグレーの、よく燃えそうな荒い材質の紙、その紙の裏にでっかく「死」という文字を描いたんです。それもただ描いたんじゃなくて、その「死」という文字を形成している線は小さな「死」の文字で形成されているんですね。つまり、「死」という文字を描くとき、最初左から右に線を引くでしょう。その部分を、死、死、死、死、死、死、死…という風に描いていき、次に「夕」の部分をまた、死、死、死、死、死、死、死…という風に描く、こんな感じです。

 当時は自分を客観的に見ることなんてできなかったから(今もできているのかわからないけど)、自分がやったことには何とも思ってなかったけど、今考えるとちょっとこれは異常だと思うんですよ。何かサイコパスなんじゃないかって、倫理観を疑うでしょう。何でこんなことをやったかっていうとそれは自分でもわからないんですけど、たぶんさっき言ったゲームの体験があまりにもショック過ぎたんじゃないかって思うんですよ。それで心の安定を図るためにやったんじゃないかと…。

 担任の先生は怒りましたよ。ただそれは僕個人に言ったんじゃなくて、教壇の前で僕が描いた「死」を皆に見せて、「こんなことをしてはいけない!」みたいな…具体的に何を言ったかは覚えてないんですけど、感情的になっていたのは確かですね。

 あれ、先生もどうしたらいいのか分からなかったんじゃないのかな。

 

 幼いころから何かそういう、人間の暗黒面というか、残虐・猟奇的で獣性な部分、そういう面に堕ちてしまうみたいな傾向はあったような気がするんですよ。自分は今サイダーの缶を手にしていて、目の前に母親がこたつに座っている。このサイダーを、母親の後頭部に思い切り投げ付けたらどうなるだろう…みたいな。実際はやらないですよ。でもそういうことを考えが頭によぎってしまう。

 あと悪夢をよく見ました。この悪夢は定期的、大体季節に一回くらいの間隔で見ていたのですが、何か魔王のような、絶対的で破壊的なシンボルが現れて、それが世界を滅ぼしてしまうというものです。かなり抽象的な表現ですけど、ちょっとそういう風にしか言えない。この悪夢を見て目覚めると決まって大量の汗をかいていました。

 この悪夢で連想するのは映画なんですよ。確かターミネーターだったと思う。テレビでよく夜九時から放送されていたんです。それで何か爆風のようなものが吹いて、主人公? フェンスのところにいた女性がその爆風で一瞬で白骨化する、というシーンがあったんですよね。まあそれはその女性の夢だったんですけど。そのシーンも非常にショッキングだった。世界の終わりみたいな。あとプレデター、あれも怖かった。もう全部が怖かったけど、プレデターがサーモグラフィで人間を探知するシーン、「ヴィオォォォン」っていうエフェクトが掛かってそのサーモグラフィの画面になるんですけど、その部分が一番怖くて、不気味だった。これは当時夢に出てきました。自分の家の庭にプレデターがいて、映画と同じように探知してるんです。確かその時近くにおばあちゃんがいたな。

 まあ、その魔王の夢は成人してからは見なくなりました。悪夢自体はたまに見ます。この前自殺ばっかり考えていた時期があったんですが、その時は連続的に見てましたね。