rememberのゆめにっき

現実のことも書くが

尊敬するミュージシャンと一緒にトイレに入る

【七月十二日】

 イオンに行って飲食店に入る。店内・店外との境目に、オレンジとピンクを混ぜたような色合いの四角形のオブジェクトの仕切りがあり、イメージに偏重した判断だがここは中華系の店だと思った。俺一人で四人掛けの席に着く。テーブルの色は黒だった。程なくして店の者がオーダーを取りに来たのだが、その者は白い服・帽子を身につけていて、一目でウェイターではなく料理人だと分かった。俺は料理人に注文する。するといつの間にか目の前のテーブルに、これはラーメンだろうか饂飩だろうか丼に麺類が浮かんでいるものが出現していた。

 俺はその店を無言で退出した。料理を食べたかどうかは知らないが、金を払ってないことは確かだった。

 

 その後は自転車に乗って、小学校の同級生のT君と一緒に家の近所の道を走行していた。他にも三、四人の人間が自転車に乗っていたのだが、それらの者は人のシルエットをした白い発光体のようで、実体として存在しているのかいないのかわからなかった。

やがて小学校へ向かう通学路に入った。両脇が田んぼに挟まれた緩い上り坂があって、その坂の途中、左手に小学校は建立されていた。俺は自転車に乗ったまま左手だけを小学校の方に仰いで、ここが俺の通っていた小学校なんですよ、と説明した。しかし誰に対して言ったのか判然としない。

 小学校の校門の向かい側に一軒の家屋があった。俺は、きっとこれからそこで同窓会を開くのだな、ともやん(T君の事)もいるし、と思った。家屋の中に入ると、気持ちのいいベージュ色の木材で造られた広い空間があり、ちょっといいとこのペンションのようだった。三十代なのだが生命力がなく、そのせいで老けて四十代に見える、みたいな女性がいた。部屋の奥にはソファーとテーブルがあり、テーブルの上には料理が置かれていた。しかしその料理というのが、平皿に山のように盛った白飯が二皿、パスタみたいな麺類の料理が盛ってある皿が三、四皿といった具合で、何かみすぼらしいというか、炭水化物ばっかりでおかずがない、この女性がおそらく用意したのだろうが、これではあんまりだろうとげんなりした。俺はこの女性は駄目な人だと思った。

 この部屋を見渡してみると、今ここには俺とその女性しかいない。一緒に来たはずのともやん、あとあの人の形をした朧げな白い発光体もいない。そして俺は、これは夏用だろうか、薄手の白いTシャツ一枚しか身につけていない状態だということに気付く。下半身は何もはいていなかったが、Tシャツの丈が長くそれで陰部を隠すことが手来た。

 こんな破廉恥な格好のままでいられるか。二階へと続く階段があり、俺はそれを昇っていった。二階は主に通路で構成されていて、壁は白く塗装されており、洗濯機がある空間があった。そこには誰のものとはわからない衣服が山のように積み上げられていた。壁際にはラックに乗った箱があり、それにも衣服が入っていた。あの箱はよく温泉や銭湯などの脱衣所で見るものと同じもののように見えた。ということはここはそういうところなのだろうか。

 ここにも一人の女性がいた。三十代だろうか、先ほどの女性よりは若々しく朗々とした印象で、髪は茶髪のショートカットだった。育ち盛りの子供がいそうだった。俺はその女性に、俺はこの通りの格好だから何か服を持ってきてほしい、と要求した。するとその女性はハンガーにかかったこげ茶の服を私に渡そうとした。それは上下が揃ったスーツのように見えたが、表面に毛羽立ちがあり生地も薄いようで、かなりの安物なのは明らかだった。俺は、そんな服が着れるか、俺が今どういう状態なのか見てわからないのか、もっと違うものを用意しろ、と憤慨した(今思えば俺はこの時自分の陰部を隠すことが目的だったので、そのスーツでも充分だったのだ)。

 女性が次用意したのは紙オムツだった。

 ふざけているのかこの女は。そんなものを身につけられるわけがないだろう、周りからどんな目で見られると思うんだ、そんなこともわからないのか……と思ったのだが、自分の性器が露わになっている羞恥心からどうしても逃れたかったので、背に腹は代えられず俺はその紙オムツを手にした。

 その紙オムツを実際に穿いたかどうかはわからない。

 

 次に俺は同じ階にあるトイレに向かった。俺は大便用の個室に入ってドアを閉めた。トイレの中は電気がついていなかったが、入口に扉が設置されておらず、そのため廊下の明かりがわずかながら差し込んでいたので、完全な暗闇という訳ではなかった。床は一辺が二センチくらいの正方形が集められたタイルでできていた。その正方形はすべて黒色だった。トイレの中に排泄物とかタバコの吸い殻があったわけではないが、暗かったこともあって俺は陰鬱な雰囲気を感じていた。空気も湿気を含んでおり、トイレ特有の閉鎖的な臭いもあった。

 個室の中の便器は和式だった。おかしなことに便器が二つあった。正確に言えば、俺が今いる個室の左隣にも同じように個室があって、その二つの空間を仕切る壁が消失していたのである。排泄する空間が共有されていた。

 その間の壁がないだけであって、他に取り立てて変わった箇所は見られず、二つの個室にはそれぞれドアがついている。そして俺がいない方のトイレのドアが開いて、誰かが入ってきた。それは俺が尊敬するミュージシャンだった。そのミュージシャンは服を脱ぐことなく無言のまま便器にまたがって、排泄をするポーズを取った。ミュージシャンは俺の存在に気付いているのかいないのか分からなかった。

 気付けば俺もそのミュージシャンと同じように便器にまたがっていた。その時俺は衣服を身につけていたのかどうか分からない。二つの個室はほぼ同じ状況だったが、ただ一つ違った点は、ミュージシャンの方の個室のドアは開けっ放してあった。俺の方は閉めてあった。そしてミュージシャンの方の開いたドアから何か談笑する声が聞こえたかと思うと、トイレの中に八人くらいの人が入ってきた。逆光のせいで人々は黒いシルエットにしか見えなかったが、ギターケースのようなものを背負っている人が見えたので、この人達も同じようにミュージシャンなのだと俺は思った。そしてその人々は、俺の左隣にいるミュージシャンがトイレの扉を開け放しているのを見て、威勢がいい、とか、立派だ、などと称賛の声を上げた。それは男性的とされる性格・気質・行動を称賛しているかのようでもあった。

 俺は急に恥ずかしさがこみあげてきて、自分が小心者のように思えてきた。隣のミュージシャンとの格の違いを見せつけられたような気がした。いたたまれなくなって、俺は自分の個室のドアに手をかけ、開けようとした……

 

 家の裏庭の林にいた。鳥小屋とトタン屋根の物置が見えた。鳥小屋に鳥はいない。昔鶏を飼育していたのだがいつの間にかいなくなっていた。多分死んだのだと思う。物置の方には材木が置かれていた。

 その鳥小屋と物置にそれぞれ、黒くて禍々しいシルエットが在った。二つの黄色く光る点が在り、それはその黒い物体の眼だと思った。

 この林の中には時々猛獣が現れるのだ。俺は昔ここで虎に襲われたことがある。

 

俺は飲食店で金を支払っていないことを思い出していた。

 

 

 

今日はイオンにカレーを食べに行こうと思っていたのだが、何もする気が起きなかったのでやめた。

 童話作家の本読了する。短編集だったのだが、泥棒の話がよかった。後の話はあまり頭に入ってこなかった。

 俺のイメージする書斎、書斎と言っても読むほう専門だが、そこにはカーペットの上にソファーとローテーブルが置かれている。とりあえずその三つだけあればいい。カーペットは既に敷いてあるからあと二つか。

 そういえば以前リサイクルショップで買った黒いローテーブルが物置にしまってある。